なでしこジャパン、ドイツに勝利(ドイツ人の反応)


Das plotzliche Aus
突然の敗北

-7月10日、ドイツの記事-


間違ったゲームの組み立て、確実でないパス…日本に敗北させられた後、ドイツチームは自分たちがワールドカップでこれ以上プレイしないことを理解しなければならなかった。
 

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日本に負けた後のキーパー・ナディーネ・アンゲラーとザスキア・バルトゥジアク

終了の笛が鳴って20分が経っても、ジモーネ・ラウデールはセンターサークルの近くにしゃがみこんでいた。テオ・ツヴァンツィガー(FIFAのドイツ人重役)が彼女の背中をぱしっと叩き、少し離れたところにいたザスキア。バルトゥジアクのところへと向かった。後ろではケルシュティン・ガーレフレケスがテレビのインタビューに答えなければならず、手を腰に当てていた。隣には、戦いのあとに横向きに置かれた水のペットボトルで作られた十字架の前で、ファトミレ・バイラマイが殆んど空になった観客席を見つめていた。彼女の隣には、彼女たちが試合後にスタジアム中を持って歩いたチームスローガンの書かれた旗がくしゃくしゃになって落ちていた。そこにはこう書かれていた「ひとつのチーム、ひとつの夢、何百万ものファン、ありがとう!」



夢は潰えた。こんなにも早く...

男子であっても女子であっても、ドイツ代表がこんなにも明白な優勝候補としてトーナメントをスタートしたことはこれまでなかった。一番大きな敵は、アメリカ人女子でもスウェーデン女子でも日本人女子でもなく、ドイツ人男子だったのだから。ソファーの上の懐疑論者はバーの中の皮肉屋だ。勝つことが重要だったのだ。他のチームなど、ただそこに存在していただけなのだ。

ドイツ人選手は試合後の会見で、失望していただけでなく、少し困惑していたようだった。何カ月もこのトーナメントのために準備し、今でもフランクフルトの決勝が頭にあった。まるで、彼女たちが準々決勝で日本に延長に持ち込まれ、0:1で負けたことを誰も伝えていなかったかのように。

「私たちが明日もう帰路に着くなんて、まだ全然信じられないわ」とザスキア・バルトゥジアク(DF)は言った。「こんなの全く超現実的。まだ、これからホテルに戻って水曜日のための用意しないと、って感じてるわ」とドイツのゴールキーパー・ナディーネ・アンゲラーは語った。インカ・グリングス(FW)は、休暇は7月20日から、と計画していたと語り、ファトミレ・バイラマイは「私たちが今もう家に帰って、他のチームがまだ試合するなんて理解不可能です」と述べている。

似たようなことは視聴者にも起こっていた。日本の先制ゴールが決まると、アジア人選手の発する歓声が一番後ろの観客席の屋根のてっぺんからでも聞こえるほどに、歓声に満ちていたヴォルフブルクのワールドカップスタジアムは静まり返った。終わりの笛が鳴っても、ホイッスルもなく、ブーイングもなく、あったのは感嘆と不信心だけだった。ドイツのファンは、今にもカート・フェリックス(Kurt Felix)がにたにた笑いながらぴょんぴょんと出てきて「どっきり大成功!!」と言って、この事情を解明してくれるのを待っているようだった。

ドイツの失望は遥かに大きかった、ドイツチームの方が120分、敵よりゴールへ迫っていたのだから。ドイツ対日本はすばらしい試合ではなかった。しかし、その強さと緊張で女子サッカーを宣伝できた試合だったのだ。アジア人たちは、どっちかというと保守的な方法を使ったのだ、圧倒的なトーナメント優勝候補と戦う時には誰もそのチームを恨むことはできない、ということを知っていた。彼女たちは、自分たちのフィールド半分に立ち、ボールをこっちやあっちに転がし、本当に成功する見込みがある時だけ、前へと走ったのだ。108分に澤穂希が丸山桂里奈にボールを送った時、丸山は急な角度で現れたが、それまでドイツのゴールキーパー・ナディーネ・アンゲラーは奇妙にもその隅で倒れたことはなかった。つまりそれは、ドイツゴールへのたった2つ目のシュートだったのだ。

「日本が実力通りに勝ったとは言えない」とドイツのシルビア・ナイト監督は語る。彼女もまた、日本の高速列車・新幹線に轢かれたようだった。監督は自分の下した選手交代やメンバーの配置について自問自答しなければならず、とても教訓的な声で自身の熟考したことを語った。そして、自分を責めているかという問いに「いいえ。ただ、とてもとても悲しいです」と答えた。


ゴールの望みのないフリーキック

このトーナメントで、どれだけドイツチームはその参加だけでなく、試合構成の欠陥、パスの成功率の低さ、そしてアイディアの少なさで人目を引いただろう。セットプレーは、小さな日本人の選抜方法によって選び出された。なんどフリーキックを打っても、全くゴールを脅かすことはできなかった。「お願いだから普通に戻って、と祈ることしかできなかった」そう語るのは立腹したビルギット・プリンツだ。彼女はドイツのユニフォームを着ながらも、ベンチで過ごさなければならなかった。「5時間プレーしたとしてもゴールにはならなかったわ」とフォワードのインカ・グリングスは言った。

終わりに、この女子サッカーを中心になって支えてきた人が現れる。選手たちが説明するよりも前に、DFB代表のテオ・ツヴァンツィガーは語り出した。まるで、最愛のおじいちゃんがサッカーに生きる女性をいたわるように。彼女たちを可愛がり、このワールドカップまで導いたその人物は、優しい笑顔で、まるで孫たちにお年玉を手渡すようにやさしく言った「みんな、もちろん驚いた。しかし勝利を祝う時だけ結束するわけではないだろう」。この準々決勝敗退が女子サッカーのイメージダウンになるか問われると、笑って「私たちは1試合負けただけなのだ。大切な試合だったが、スポーツには、そんなこともある」と答えた。






-コメント-

norbertZ


全く素晴らしい分析だ。

ワールドカップ全般を通して、シルビアがルディ・フェラー(指導者として2000年からドイツ代表監督を務め、日韓W杯では準優勝をおさめたが、EURO2004でグループリーグ敗退と振るわず、その責任を取って辞任した)を見習っているようでならなかった。

リスクをとる勇気がなかった。

なぜ去年まで世界ランク3位だったファトミレ・バイラマイが選ばれなかったんだ?

なんで『若くてワイルド』なアレキサンドラ・ポップがチームに組み入れられてたんだ?


f.k.

日本の女性たちへ、おめでとう。

この時点で、日本人女性の勝利におめでとうと言っておきたい。
(じゃないと誰もしないだろうから)


zuhorer

全てに終わりがある。

このチームへの期待、そしてここ数年の順調な飛行にも終わりが来たのさ。たぶん、それでもよかったんだ。戦う意志が途絶えたわけではないし、これであいつらはもっと強くなる。

昨日の敵チームだって、ドイツとの試合にまだ準備万端だったとは言えなかった。いま、シルビアがチームにどのような処置をして、また成功に導いてくれるかが、鍵だ。



preussexx

まぁ、そうだね。

対ナイジェリアセンをちゃんと見た人なら、あんまり驚かなかったんじゃないかな。アフリカ人はほぼいつも、走りの場面で勝っていたし、コンビネーションを使ってプレイしていた。基本的には日本人との試合もこれの繰り返しだったんだよ、でも今度はチーム規模だったけどね。

だからフィジカル重視のドイツの攻撃戦法は面食らってしまったわけだ。


mtume7

ちょっと、ちょっと...。

ドイツの女性は今、まじめに捉えられていないし、差別されている。

ナイキですら、女子サッカーはブンデスリーガとは比べ物にならない、と指摘している。

違うよ、君たち。女性はいつも犠牲になるけれど、今回はちょっと彼女たちは思い上がりすぎて、それでかわいそうに失敗してしまっただけなんだ。


Nichtgeleistet

試合の後…

女子ワールドカップ、ドイツが負けた!!



joschitura

世界一のゴールキーパー?

だれもあの日本人のゴールについて触れてないから言わせてもらうけど、結論から言えば、ナディーネ・アンゲラーは厄日だったか、考えたくもないけど、それまでの評判が全て根拠のないものだったか、のどっちかなんだ。

このワールドカップに出てるゴールキーパーたちを見ても、世界一のゴールキーパーに分類されうる素質を持った選手はいない。でもこのボールは、アンゲラーさんなら取れたはずなんだ!立ち止まってる代わりに、間違った方向にちょっと早く飛んでしまっただけなんだ...


plumtree

まぁ、仕方ないよね...

なんたって私たちみんな、準々決勝の日本戦の前から、どうやって準決勝の相手を倒そうか考えていたんだから...

選手の中にはすでに、スウェーデンに買ったときのことを思い浮かべてほくそ笑んでた人もいるんじゃないかしら(まぁ、スウェーデンとなら、勝ててたはずだけど)。

とても残念...だけど、日本人選手にはがんばってほしいわ

断言する、ドイツの女子サッカーは再び世界の頂点に返り咲くわ!!



roger-v

成功だけが、正しい人生となる世。

全部、正しくやったと思う。

女子サッカーだろうが男子サッカーだろうが、成功と評価と金が全てになってしまうんだ。

メディアはスターか負け犬しか作らない。

中立になるならば、情熱的な大衆スポーツになにも望まないことなんだ。

ときどき思う。ジャーナリストやファンが、ほんとうに俺と同じ試合を見て、この評価を下しているのかどうか。
俺の意見では、日本人選手のテクニックと創造性がただ単に上回っていただけなのさ。ディフェンスのパスは美しかっただろう。

俺たちの女性は戦った、でも戦略は敵にバレバレで、それから何も、相手の裏をかくアイディアを思いつかなかっただけなのさ。



wendelin89

お金のことだけど、

女子選手は何人か、男子選手よりもらってる人いるよ。

この絶大な話題性でお金は入ってくるし、この観客動員数にふさわしいサラリーだって入ってくる。

だから、天の川のようにこのワールドカップ熱を長くするために、そして男子サッカーに受け継がせるために、彼女たちはもっと勝つべきだったんだ!


gordonBleu

ソファーの上の懐疑論者はバーの中の皮肉屋だ。

こいつらは嫌なにおいがする角から這い出てきて主張するんだ「俺たちわぁ...いっつぅも知ってたんだぜ...女子ッサッカァとかぁ...シルビィ・ナイドとかぁ...やつらにできるはずぁなかったんだぁ...うん、ビルギット・プリンつゥ...お前ぇらにとっても明らかだったろぉ...」などなど。

女の子たち、キミたちは120分も戦った。120分間がんばったが、ただ成功しなかったんだ、気にするな。

で、また皮肉屋が現れたら言ってやれ「おい、あんたはいったい何度世界一になったっつぅんだ?」ってな。


ありがとう!



lernunfaehig

放射能

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roberto80

あの負けは相応のものだ。

ドイツチームは優勢だった。でも、90分にあった100回以上のチャンスを活用することができなかった。これが勝ちに結ぶつくはずがない(日本人ゴールキーパーの問題ではない)。終わりに欠けていたものは大きい。ゴールの守りを甘くしすぎて...それで日本人があそこまできてしまったんだ。それにアンゲラーさんはあの時、もう準決勝のことや、もしかしたら休暇のことを考えていたんじゃないか?初心者のミスだな。



nokaro

うすのろだっただけ。

女性だったから負けたんじゃない。ただ、監督が、日本人の早いプレーに対する答えを見つけられなかったことが原因よ。試合を見てて、まるで日本人が22人でプレーしてるように思えたことが何度もあったわ。

結果的に、メディアの言うように、この「夏の童話」は寒い夏の雨で終わったのね。


kowelenzer

自分の責任!

この犠牲者意識は、ばかばかしすぎる。女どもはサーカスのなかで踊らされてたんだよ。クソみたいな話題を撒き散らしたメディアだけが悪いんじゃない。結果的に、俺たちは安心していいんだ。男子サッカーはまだまだ世界で3本の指に数えられるんだからな。


trzandc

超フラストレーションだ...

みんな言うはずだ、この試合ではフラストレーションを覚えたって。日本人に、技術でも戦術でも劣っていたんだ。数え上げればきりがない。日本人が全て、ドイツチームの弱点をさらけ出してくれちゃったんだ...

だれも、昨日のような試合は見たくないだろうな。でも他の殆どの試合だって昨日のより優れていたわけではない、敵さんがもっと酷かっただけだったんだ。

最悪なのは、負けたことではなく、どうやって負けたか、だ。止まることができないし、短いパスも出せない、それに、なんで窮地に陥ってもいないのにあんな遠くからシュートしちゃうんだ?20センチも身長差があるのに、基本戦術としてなんでヘッドを使わない??



erstDenkenDannReden

やったー!!

これであと10年は女子サッカーを見なくてすむ!そして、今秋のバスケとかに集中できる!!



L-Tryptophan

まぁ、泣くな泣くな。



まだロボットサッカー・ワールドカップがあって、ドイツはいつも入賞している。


翻訳元; http://www.zeit.de/sport/2011-07/wm2011-deutschland-japan

 












辞書には載っていない若者ドイツ語
Nr.19; 
 Am Arsch der Welt (辺境の地・田舎。直訳;世界のケツ)



“女子も燃えるサッカー”新ドリル―診断シートによる発展のミニ教材&補充の指導ポイント付き (一週間でマスターできる体育教科書シリーズ)


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